◆政策金利とは
政策金利とは、景気や物価の安定などの目的を達成するために、中央銀行(日本では日本銀行)が設定する短期金利(誘導目標金利)のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼす非常に重要な金利のことです。
中央銀行は物価の安定などの「金融政策上の目的」を達成するために、政策金利を変更してそれらの達成を試みます。
◆政策金利と物価
例えば、去年まで300円で買えたトイレットペーパーが今年値上がりして400円になったとしましょう。
僅か100円ですが、生活必需品なので長い目でみると非常に大きな出費となりますね。
この場合、企業はウハウハですが「個人」が困ってしまいます。
では次に、去年まで300円だったトイレットペーパーが今年値下がりして200円になったとしましょう。
単純にトイレットペーパー作っている企業の売り上げは上がりませんね。
この場合は、「個人」は買いやすくなって喜びますが、トイレットペーパーを作っている「企業」は困ってしまいます。
このように、物価は極端に上がっても下がっても誰かが困ってしまうんですね。
なので、中央銀行は(アメリカで言えばFRB,日本でいえば日銀)景気の状況を見て、適切に金利を調整して物価を安定させる方向へ誘導しますが、この時に動かす金利のことを「政策金利」と言います。
もう少し具体的に見ていきましょう。
◆政策金利の上げ下げ
では、どのような場合に政策金利を上げ、どのような場合に政策金利を下げるのかを見ていきましょう。
●政策金利を上げる場合(下げる場合は下記の逆なので省略します。)
政策金利を上げるときは、「物価を下げたいとき」です。
景気が良く、人々がモノやサービスをどんどんと買っている時に企業がモノやサービスを提供するスピードが追いついているときはいいのですが、人々が買うペースが速くなり、しかも大量に買い始めると、企業がモノやサービスを提供するスピードが追いつかなくなります。
すると、企業は人手を増やしてそれに対応しようとして、1人でも沢山の人に働きに来てほしいと思いますから、雇い入れる際の賃金を引き上げます。高いお給料を払うからうちに働きに来てねと。
そうなると、他の企業も少しでも人手が欲しいわけですから、A社よりも高い賃金を提示するようになり、B社が時給1000円ならC社は1,200円だ・・・と、賃金が高騰し始めます。
するとどうなるか。
企業は儲けを維持するために高くなった人件費分を価格に上乗せをし始めます。
すると、今まで300円だったトイレットペーパーが400円、500円・・と騰がり始めるんですね。(ここでは話を単純化させるために人件費のことにしか触れておりませんが、原材料の高騰やエネルギー価格の高騰も絡んできます。)
これを「インフレ」と言いますが、過熱するインフレは「好景気」という状況を超えて、逆に多くの人を困らせる(特に最終的な消費者である個人)ので、過熱した好景気は火傷する前に冷やさなければいけません。
ここで登場するのが「政策金利」で、景気が過熱して物価が高騰し始めると、物価を下げるために金利を上げるのです。
どういうことか。
政策金利を上げると、 金融機関(市中の銀行などですね)は中央銀行などからそれまでより高い金利でお金を借りることになるため、一般の企業や個人に貸し出す時も高い金利を提示するようになります。
すると、 企業や個人などはそれまでより高い金利でお金を借りることとなりますから、例えば企業なら新しく設備投資をしたり、新商品を開発したりなどにお金をかけにくくなりますし、個人なら、例えば家や車などの高価なものを買う時に借りるお金の金利が高くなるので、購入を手控えるという方向になっていきます。
すると、需要が減ってきますので、企業も供給のスピードを緩めることができるので、価格に反映していた様々な経費を抑えることができるようになり、高騰していた物価が落ち着いてくると、このような流れでございます。
当然ながら、政策金利を下げる場面は上記の逆ですね。
このように、物価の上げ下げを調整して景気を安定させるための1つの手段が「政策金利」でございます。
以上です(*^^*)
参考サイト:三菱UFJ銀行「知っ得用語・政策金利」
にほんブログ村