【テーパリング物語・投資で出会う言葉】テーパリングってなーに?

投資で出会う言葉

◆テーパリング物語

話を進めていくために、前提として「不景気である」という設定にします。

そして話を分かりやすくするために非常にざっくりとした説明になります。が、大意としては問題ないと思います。

では早速。


不景気の時には、世の中にお金は出回っておりません。

みんな、「こんな不景気が続くならこの先どうなるか分からない。なのでお金は使わないようにしよう。」として、財布の紐を締めに締めています。

このような状態が続くと、企業の経営悪化はもちろん、国全体としてもその国力が落ちてきます。

輸出するための商品を沢山作れなくなったり、必要な商品を輸入するためのお金が無くなったりして、国の経済力が落ちていくからです。

そこで、このままこの状況を放置しておくわけにはいかないということで、国が「世の中を不景気から回復させよう!」としてまず行う政策の1つが「金融緩和政策」と呼ばれる、政策金利をゼロ水準まで引き下げて、商品やサービスを提供している企業がお金を借りやすくする状況にします。

ここで「政策金利ってなーに?」となると思いますが、今のところは「お金を借りたときの利息」と思っていただいて結構でございます。政策金利の詳細はまた別記事で書きますね。

話を元に戻します。

金利が高いと、新しい商品やサービスを提供したいと思っても、金利が高くてお金を借りられないので新たな投資が出来ず、せっかく良いアイデアがあってもそれを形にして世の中に出すことが難しくなりますが、金利が低いとお金を借りやすくなって、企業や個人が銀行などの金融機関から比較的お金を借りやすくなります。

そうすると、上に書いたように,、企業が行う新たな投資や、個人だったらいままで控えていたお買い物をし易くなるなどでお金が世の中に出回りやすくなります。

ですが・・・

その時の不景気の度合いが深刻で、ゼロ金利水準まで政策金利を引き下げても、それでも世の中にお金が出回らない状況となることがあります。

直近で言えば2020年3月頃の、いわゆる「コロナ・ショック」のような状況ですね。

国は困ります。

既に金利はゼロまで下げてるので、これ以上、下げようがない・・・

マイナス金利にする?

いやちょっとまて、これ以上金利を下げなくても世の中にお金を放出する作戦がある!

国債や住宅ローン担保証券などの金融商品を買うことでお金を世の中に放出しよう!

という作戦に打って出ます。

もちろんここでは「国債」や「住宅ローン担保証券」が分からなくても結構でございます。そんな金融商品を国が(正確には中央銀行ですが、ややこしくなるので「国が」で理解しても大意はつかめると思います。)買うことで世の中へのお金の供給量を増やすということだけわかれば結構でございます。

この作戦を「QE」、日本語にすると「量的緩和政策」といって、金利をこれ以上下げられないのなら、大量の金融商品を買うことで世の中へのお金の供給量を増やしていく作戦です。

その結果、QE作戦大成功、晴れて世の中にお金が回り始めました。

しかーし!

世の中にお金が回り始めて景気が回復してきたのに、それでもまだ国が世の中にお金を供給し続けていけばどうなるでしょう。

少し見ていきましょう。

世の中にはお金が沢山出回っているので、人々はお金持ち気分になり、どんどんといろんなモノやサービスを買っていきます。

そうすると、企業が提供するモノやサービスの供給量が追いつかなくなります。

するとどうなるか。

モノやサービス自体にプレミアムな価値が付き始めて、例えば、不景気の時は100円で買えたハンバーガーが150円に値上がりしていきます。

どうしてか。

具体的には、作っても作っても追いつかないので、企業は人出を増やして対応しようとします。

が、世の中の企業がみんな同じように考えるので、人手の奪い合いになります。

するとどうなるか。

賃金を引き上げてうちの会社に来てもらおうとします。

だったらうちはもっと上げて・・・

いや、だったらうちはさらに上げて・・・

という、賃金アゲアゲ合戦になります。

当然、企業は儲けを維持するために、賃金が上がって経費が膨らんだ分を、モノやサービスの価格に上乗せして回収しようとしますね。

で、値上がりしていくのです。

だって、欲しい人が沢山いるので高くても買っていきますからね。そりゃ企業も沢山作りますよね。

ということで、お金の供給量を増やしていくと経済が回り始めるので、あとは放っておいても景気がよくなっていくのですが、放置し過ぎると際限なく上に書いた状況がループしてしまい、際限なく物価が上昇してしまう恐れが出てきます。

で、国としては、

我々はQE、つまり「量的緩和政策」を行うことで十分に世の中にお金をまわして、結果として不景気が解消した。逆にこれ以上放置しておくと物価が高くなりすぎて、それはそれで国民が困ってしまうのでコントロールしないとけないね。OK。分かった。ではもう世の中にお金を供給する「量的緩和政策」を止めてしまおう。

これが「テーパリング」と呼ばれる政策です。

具体的には、量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていくことを指す言葉で、雇用統計などの景況感を図る指標が改善傾向となったことなどを見極めて、その時点で量的緩和策を縮小していくことを「テーパリング」と言います。

長かったですね(^_^;)

以上です(*^^*)

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わかば

わかば

美味しい食事とお酒をこよなく愛する投資家の卵です。 愛する妻と息子と過ごす時間が何よりの宝物。 趣味は食べ歩きと読書。 大の日本酒党で、焼き鳥とお酒さえあればたいがい機嫌が良いです。

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