おはようございます!
今日は相場の見立てというよりも、大注目の「日銀金融政策決定会合」について考えてみたいと思います。
巷では既にリークの嵐となっており、市場参加者はほぼすべてで、今日の発表で日銀がゼロ金利解除を決定し、YCC(イールドカーブコントロール)も撤廃して金利は市場に委ねるという姿勢を打ち出すかもしれないという空気感でパンパンとなっております。
事実、月曜日の日経先物は前日比で1.95%も上昇し、39,420円台まで戻ってきました。
ここからは少しだけ深堀りして考えてみます。
2月末の衆議院予算委員会で日銀の植田総裁は「今後も物価上昇が続く恐れがある。デフレではなくインフレの状態にある」とし発言し、3月会合での金融政策正常化(ゼロ金利解除)に含みを持たせたのか、ここで空気は一変いたしました。
つまり日銀としては「適度なインフレ(物価目標2%=2%とは消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率を2%程度に安定させるという意味です)ならOKだけれど、このままならインフレが加速してしまう。そうなると経済が大打撃を受けるので遅きに失した面は否定できないが、もうゼロ金利を解除して実質的な利上げをし、インフレにブレーキをかけなければいけない。」という思いから、この3月会合での利上げに踏み切るのだと思います。
これを額面通りに受け取るなら、日銀は国民生活のことをきちんと考えてくれているということになります。
てか当たり前ですけどね。
ま、日本は前回発表のGDPの速報値では2期連続でマイナス成長を記録し(改定値ではギリプラス成長と修正されましたが)実質上のリセッション(景気後退)局面に入っておりますから、「インフレ」というよりは「不景気の物価高」、つまり「スタグフレーション」の局面に入っているといって過言ではないんですけどね。
対して岸田総理(=日本政府)は同じ衆議院予算委員会において
「政府としても消費者物価はこのところ緩やかに上昇していると認識しているが、日本経済は再びデフレに戻る見込みがないと言える状況には至っていない。したがってデフレ脱却には至っていないと考えている」と述べ、さらに
「今こそ、長い間、日本経済に染みついたデフレから完全脱却し、熱量あふれる新たな成長型経済に移行していきたい」と発言したんですね。
つまり「まだデフレじゃん。もっとインフレさせようぜ!(もっと物価上げていいじゃん)」と発言しているんです。
日本経済の牽引役である日銀がインフレ対策に舵を切ろうとしているのに、日本政府はインフレ促進の方向に持って行きたい・・・
これ、どういうことでしょうか。
この辺りの裏事情といいますか、インフレを継続させることで「誰が得をするのか」は「グローバルマクロリサーチインスティテュート」さんのブログをご一読いただければすべて明るみに出ると思いますので詳細はそちらに譲りますが、答えから書いていきますと、インフレで「得をする」のは他でもない「日本政府」なんですね。
日本政府は「インフレ」の経済状況下では、
①物価の上昇とはつまり、日本だけで考えますと実質的に「円」の価値が下落することですから、対GDP比で254%もの負債を抱えている政府にとっては、借金が事実上消えていくのでインフレは継続させた方が政府にとって都合がよい。
②インフレになると物価が上がるので、政府が徴収する消費税や法人税が上がる。つまり政府の収入が増える。
主にはこのような理由で、先進国トップの負債を抱える政府にとってはこのインフレの状況は「ありがたい」のですよ。もちろん、国民にとっては暮らしにくいですけどね。賃金が上がったっていっても大企業からですしね。この流れを中小が追随できるのでしょうか。
ここまで書いた事をまとめて現状を考えてみますね。
①日本は日銀総裁がいうように既にインフレになっている。
②なので日銀は金利を上げてインフレを抑えたいと考えている。
③しかし政府はまだデフレだという。そしてインフレ下で金利がゼロというぬるま湯の今のままでいたい。だって金利が上がって負債の利払いが増えたら困るから。
④財務省は財政出動をしたくない。つまりこれ以上政府の借金を増やしたくない。いろいろな「財源」とやらを「消費税」で賄おうとしているし。
なので、日本政府は「金融緩和の状況で小さな政府」という、経済にとってアクセルとブレーキを両方一度に踏んでいるようなこのチグハグな状況がもっとも適温なんですよ。
日本政府は現在、対GDP比で254%(!)の政府債務残高を背負っております。
これは先進国の中でもぶっちぎりでトップとのこと。
現状、日本は「ゼロ金利」なので、政府が抱える借金に対する利払い、つまり簡単に書けば「利子」がほぼない状態ですから、インフレが進み、日銀が短期金利を上昇させれば(ゼロ金利解除すれば)、この膨大な金額の負債に対する利払いが爆発的に増えて日本政府は首が回らなくなるんですね。
政府が利払いを支払えなくなると、極々単純に書いてみますと国債が暴落し、円が鬼のように安くなり、つまり経済という視点からみておよそ「先進国」とは呼べない国に堕落してしまうんですよ。
なので日本政府は「インフレ継続で金利を上げない」今の状況が適温なんです。いわゆる「ぬるま湯」ってやつですね。
なのですが、
日本政府は現状、「緊縮財政」を掲げ、財務省も「プライマリーバランスの黒字化」を名言しております。
つまり、収入をあげて負債を無くし、収入と支出のバランスにおいて収入の方を多くしようという政策です。
よって、財政出動、簡単にかけば「ばら撒き」はしたくないはずです。
でも、過度なインフレは「国威」にとって損でしかない。
ただでさえ、主要国の通貨に対して円は安くなっているのですから、このままだと経済的な先進国という世界的な地位を失ってしまう(もうすでに‥という部分は誰もが思っていることでしょうけれど・・)
なので、金融政策で金利を上げて、引き締め的な金融政策に移行することは容認しよう。だけどせめて「市場の流動性」、つまりマーケットに流れるお金の量だけは減らさないようにしてくれよな、日銀さん。ということで、なので「金利を上げても緩和的な姿勢は変わらず」というような「どっちやねん!」というフレーズが出てくるわけですよ。(と、わかばは理解しております。なにぶん経済は素人ですので、間違っていたらぜひご指摘ください)
市場の流動性まで締め上げると、ただでさえ「不景気の利上げ」なのに市場にお金が回らなくなり経済が本当に死んでしまいかねない。
で、キーワードとなるのが、月間6兆円とも言われている「日銀の国債買い入れ」が継続するのか、それとも減額させるのか、この点が注目されます。
金利を上げても国債の買い入れ額を減額しなければ、それだけ市場にはマネーが流通しますから、いわゆる流動性の面では下支えすることになりますので、株式市場も(株価も)底堅くなりやすく、よって株価は上昇しやすいという傾向になると思いますので、日銀と政府、両方の思惑といいますか、利害(本来あってはならないのですが)を考えると「ゼロ金利解除で利上げ。でも国債の買い入れ額は減額せずで流動性は確保。財政出動は出来ればやりたくないけれど、政府は今鬼のように支持率低いし選挙も近いうちになるだろうから、なんだかんだ理由をつけて利上げ対策給付金的なものを配ればお茶を濁せるんじゃないか?」ということで話がまとまって、3月会合のゼロ金利解除にふみきったのかな(これを書いている時点ではまだ発表前で決定はしておりませんが)と、素人の僕は考えている次第でございます。
よって、トレードするなら上目線とします。
ヘッドラインで瞬間的にチャートは下がるも、38,500円くらいから戻ってきて今日中に40,000台に復活するのが今のところのメインストーリーです。
が、国債の買い入れ額を減額するとの植田総裁の発言があれば真逆です。
一気に37,150付近までの下落は十分にありうるとみて、その場合はショートでエントリーします。
値幅は狙わず、確実に小さな利益だけを狙ったトレードを心がけたいと思います。
以上です(*^^*)
いつも応援ありがとうございます!